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日本神経科学学会が非侵襲的脳研究の指針改定

2010.01.12

 検査を受ける人にほとんど負担を与えない脳研究の方法である「非侵襲的研究」のありかたについて日本神経科学学会は、同学会の指針を改定し、公表した。研究の社会的意義が極めて大きいことをあらためて強調した上で、研究成果が人権侵害を生じないよう倫理面での注意すべき事柄を明記している。

 指針は、研究の進展に伴い「一般社会に不正確あるいは拡大解釈的な情報が広がり、科学的には認められない俗説を生じたり、脳神経科学の信頼性に対する疑念を生じたりする危険性が増大している」ことに注意を喚起している。「心」の領域も研究対象とすることから、「心を操作される」といった科学的根拠のない不安を引き起こさないような配慮が必要であることを強調している。

 このような擬似脳科学や神経神話が生まれないよう、研究成果の発表に当たっては「成果を社会がどのように受け取るかを考へ、メディアや社会の特徴を熟知するとともに、メディアや社会との相互コミュニケーションを積極的に行っていくことが望まれる」としている点が注目される。

 機能的磁気共鳴画像法(fMRI)、ポジトロン断層撮影法(PET)、ブレインマシンインターフェース(BMI)など、脳の働きを外部から観察したり解析できる「非侵襲的研究」は脳研究の飛躍的進展をもたらし、各種脳疾患の発症機構解明や治療法の開発につながると期待されている。

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