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「もんじゅ」で体制強化申し入れ 福井県知事が文科相に

2009.05.13

 運転再開が遅れている高速増殖原型炉「もんじゅ」は、西川一誠・福井県知事が塩谷立・文部科学相に原子力研究開発機構敦賀本部の組織・人員体制などの充実と、「もんじゅ」運転再開工程を明確化するよう要請する事態になった。

 12日、文部科学省を訪問した西川知事は「原子力機構の組織体制を現在のような必要最小限の体制ではなくて、エネルギーの根幹にかかわるような国策プロジェクトとして、力強く進められるような体制にすることが文部科学省としての責務。日程、関係省庁の調整など、基本的な解決の道筋をはっきりさせてほしい」と求めた。これに対して塩谷文部科学相は「原子力機構の体制については今年度から人員を40人増やしたが、さらにしっかり要望に対応したい。現在、耐震についての安全性に課題が残っており、工程についてはもう少し時間がかかる」と話した。

 「もんじゅ」については、文部科学省が着実に推進するという方針を示したことを受け、福井県が2005年2月、安全協定に基づいて改造工事の実施を事前了解した。その後、改造工事、工事確認試験を経て、07年8月末から、プラント確認試験が行われている。

 しかし、当初08年2月の運転再開を目指すとした工程は、ナトリウム漏えい検出器の施行ミスや屋外排気ダクトの腐食孔などへの対応のため4回変更され、現時点では新たな運転再開の目標時期さえ示されていない。

 経済産業省原子力安全・保安院は、これらの問題は原子力機構経営層のリーダーシップの欠如や敦賀本部全体の組織体制に根本原因があるとして、昨年度、特別な保安検査を行ったが、原子力機構の組織改善はまだ「実施途上」としている。

 西川知事は「もんじゅは、国の原子力政策大綱に基づく重要プロジェクトとして、安全の確保を前提に着実に推進されるべきだと考えているが、計画した工程が繰り返し変更され、今なお、組織の運営管理に課題があるとされていることは、県民の信頼を損ねるものであり遺憾」とした上で、早急な対応を求めた。

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