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鉄系超電導物質の期待高める新たな成果

2009年2月9日

細野秀雄・東京工業大学教授が昨年2月に発見した鉄系超電導物質の新たな可能性を示す研究結果が、高エネルギー加速器研究機構などの研究者たちによって得られた。これまでよりさらに高い温度で超電導体となる新しい物質発見の期待を抱かせる成果、と研究者たちは言っている。

門野良典教授ら高エネルギー加速器研究機構・物質構造科学研究所のミュオン物性研究グループは、総合研究大学院大学大学院生、平石雅俊氏、秋光純・青山学院大学教授、岡部博孝・同研究員らと共同で、ミュオン・スピン回転法と呼ばれる分析手法を用い、鉄系超電導物質の磁気的性質などを調べた。

この結果、(Ba0.6K0.4)Fe2As2系列の超電導体は、電子が抜き取られて電子の穴(ホール)になったところが正の電荷を持った電子のように振る舞い、超電導現象を起こしていることが分かった。これは鉄系超電導体として細野教授が最初に発見したLaFeAsOと比べると、鉄(Fe)とヒ素(As)の層が超電導現象を担っている点は共通だが、 “主役”が電子そのものかホールかという違いがある。また、鉄系超電導体の前に超電導物質研究に大きな衝撃と影響を与えた銅酸化物の超電導とも仕組みが異なることが明らかになった。

鉄系超電導体は、細野教授によって初めて発見された後、ランタン(La)元素を他の希土類元素に替えることで、さらに高い温度で超電導体になる物質が相次いで見つかり、銅酸化物超電導体発見以来の世界的な研究ブームをもたらしている。細野教授の研究成果は、米科学誌「サイエンス」の「2008年科学進歩ベスト10」にも選ばれている。

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