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16年前に死亡の飛騨種牛クローン技術で復活

2009.01.09

 飛騨牛の父と呼ばれる種牛の冷凍精巣からクローン牛を誕生させることに岐阜県畜産研究所の星野洋一郎主任研究員と近畿大学生物理工学部の佐伯和弘教授のグループが成功した。1昨年11月から昨年7月にかけて生まれた4頭のうち、1頭は生後2日で死亡、もう1頭も5カ月間健康に生きた後、この7日に感染症のため死亡した。しかし、残り2頭は今も健康な状態を保っている。

 星野主任研究員らは、種牛として活躍し、飛騨牛ブランドの確立に貢献した「安福」(やすふく)が、1993年に死亡した際、精巣を取り出し、アルミホイルで包んだほかは特段の処理をしないまま零下80℃の冷蔵庫で凍結保存した。

 冷凍精巣の特定の部分から少数の生きた細胞を取り出し、培養して増やした後、クローン技術によって「安福」と遺伝的に全く同じ、牛を誕生させることに成功した。

 動物の臓器や組織をそのまま凍結するだけで有用な家畜や動物の遺伝資源を保存することができるだけでなく、永久凍土に閉じ込められたマンモスなどの動物の復活もこの方法を応用することで可能になるのではないか、と研究者たちは言っている。

 「安福」の血を引く種雄牛はこれまでに全国で約150頭誕生しており、黒毛和種の30%以上が安福の子孫であるといわれている。

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