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ヘリウム漏出したLHCの運転再開は来年春

2008.09.26

 スイス・フランス国境に建設された「大型ハドロン衝突型加速器(LHC)」が、運転開始直後の19日、大量のヘリウム漏出により運転を停止した事故について欧州合同原子核研究所(CERN)は、運転再開が来年春になるとの見通しを公表した。

 LHCは10日に陽子ビームを入射し、1周27キロの円形加速器の周りを周回させることに成功したが、19日超電導状態を作り出すための冷却材であるヘリウムが大量に漏れ出す事故が発生、運転停止に追い込まれた。

 CERNによると、事故の原因は磁石と磁石をつなぐ電気系統接続部の異常と見られるが、この原因解明と修理のため、運転再開は冬季に設定されている加速器の点検作業後、来年春になるという。

 LHCで予定されている国際共同実験の1つアトラス(ATLAS)実験には、世界中の研究者に交じり、日本からも高エネルギー加速器研究機構、東京大学素粒子物理国際研究センター、神戸大学など15の研究機関の研究者が参加している。高エネルギー加速器研究機構によると、この実験では陽子ビーム同士の衝突により、宇宙の始まりであるビッグバンの1兆分の1秒後の超高エネルギー状態を再現し、物質に質量が生まれる仕組みを担うヒッグス粒子や、宇宙の暗黒物質の候補とされる超対称性粒子の発見などを目指している。

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