ニュース

自然共生流域圏見直す国土再生を提言

2008.08.25

 高度経済成長のひずみ解消と人口減少・高齢化社会へ対応するためには、自然共生型流域圏の再構築を柱とする国土形成の方向転換が必要だとする報告を、日本学術会議土木工学・建築学委員会の国土と環境分科会がまとめ、公表した。

 自然共生型流域圏というのは、自然地形である分水嶺に囲まれた流域圏のことで、長い間、日本の集落社会形成の基盤となってきた。経済成長期における農山村からの都市への人口移動や交通ネットワークの発達などによって、衰退、軽視されている流域圏の自然環境、地域コミュニティの再生は、日本社会が目指す「低炭素化社会」「循環型社会」「自然共生社会」の土台となるものだとして、必要な取り組みを提言している。

 報告は、再生すべき地域について農山村とともに地方中小都市も挙げており、人口減少・高齢化社会に対応した有効な再生には、地域に特有な産業の育成とリーダーとなる人材育成が必要、と指摘している。特にNPOの育成と、企業が地域再生に積極的に参加できるインセンティブを付与することの重要性をうたっている。

 また、新しい国土形成には、複数の市町村、国・県・市町村間にまたがる広域土地利用管理と調整が必要だとしており、これには行政、NPO、企業に加え、特に市民の活動が社会を動かす大きな力であることを認識すべきだ、と提言している。

関連記事

ページトップへ