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米国内で飼育中のトラ5千頭 違法取引の恐れ

掲載日:2008年8月22日

米国内にペットや展示目的で飼育されているトラが約5千頭以上いると推定され、商取引を禁じた国際条約に反して闇市場に流れる危険があるとする報告書を、野生生物の取引監視団体などが公表した。

トラフィックと世界自然保護基金(WWF)による報告書「トラの取引における飼育トラに対する米国の役割」によると、最近の推計では、米国内には、5,000頭以上のトラが飼育されている。これは世界中で生息している野生のトラの総数、約4,000頭より多い。これらのトラは動物園で育てられているもの、カーニバルでの催し物、広告展示で使用され、保護施設に収容されているもの、ペットとして個人が所有しているものなどさまざまだが、米政府には、これら飼育トラがどこに何頭いて所有者はだれかを追跡する仕組みがない。個人の所有を認めていない州が26あるが、15州は許可があれば可能、残り9州では、トラの個人所有に許可も登録も必要がないという。

トラの骨や毛皮は、ファッションやアジアの伝統薬などの需要が高く、密猟と生息地の縮小から、野生トラの生息数は急速に減少している。米国で飼育されているトラの骨や毛皮などが闇市場に流れ込むようなことがあれば、トラの取引と消費者需要を刺激し、野生のトラの個体数維持にもさらに深刻な脅威になりかねない、とトラフィックの担当者は警鐘を鳴らしている。

野生生物の取引を管理するワシントン条約に加盟している173カ国の政府は、2000年以来、トラを違法取引から守る一連の決議を採択しており、昨年は、体の部分を商業取引する目的でトラを繁殖させてはならないことを、全会一致で決めている。

トラフィックとWWFは「米国政府が、一部の飼育トラを、飼育・繁殖されている野生生物の登録システムから免除している法律の例外措置を廃止し、トラを展示・繁殖させる米農務省許可を持つすべての個人、施設が、飼育中や誕生、死亡、移送、売却したトラの頭数を毎年報告する」ことを提言している。

展示目的のトラを収容している施設(米フロリダ州)
© Doug Williamson
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