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酸味と唾液の関係解明

2008.06.09

 人間の舌が感じる5つの味覚のうち、酸味だけが特別のメカニズムによることを、自然科学研究機構・生理学研究所の富永真琴教授と稲田仁特任助教の研究グループが突き止めた。

 酸味は、甘味、辛味、塩味、旨(うま)味と並ぶ味覚で、酸や水素イオンを感じることで酸っぱさを見分けている。実際に、酸っぱいものを見ると条件反射で唾(だ)液が出て来ることを経験した人は多いと思われる。

 富永教授らは、PKD1L3とPKD2L1と呼ばれる2つのタンパク質からなる舌の細胞の表面にある物質(PKDチャネル)が、酸味を感じる部分であることを見つけた。さらに面白いことにほかの味覚は刺激を受けたときにすぐ、それと分かるように味覚を感じる部分が反応するのに対し、PKDチャネルだけは、刺激(酸味)がなくなった後で反応することが分かった。

 酸っぱいからこそおいしい食べ物はいくらでもあるが、酸味感覚はもともと痛んだ食べ物や未熟な果実、刺激の強い液体を避けるために必要な感覚といわれている。

 「強い酸味は危険な食べ物であることが多く、すぐに唾液で洗い流すようにできている。そこで、唾液で洗い流されたあとでも、『酸っぱさ』をいつまでも感じられる仕組みができているのではないか」と、富永教授らは、酸味が独特のメカニズムで感知される理由について話している。

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