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やっぱりにおいが決め手

2008.05.09

 マウスが雄、雌の違いや個体を見分けるのは、フェロモンとにおいを感じる細胞の働きによることを、理化学研究所と米ストワーズ医学研究所の研究チームが突き止めた。

 動物の行動や生理的な変化に関与するフェロモンは、尿や体からの分泌物に含まれ、マウスなどげっ歯類では鼻の中にある鋤鼻器(じょびき)という器官で、「におい」として感知することが知られている。鋤鼻器の中に250種類ある嗅覚受容細胞にフェロモンが結合すると細胞内でカルシウムイオン濃度が上昇し、その信号が脳へ伝わり、行動や生理的変化となって表れる。

 理化学研究所 脳科学総合研究センターの中井淳一研究員とストワーズ医学研究所のロン・ユウ博士らは、まず、嗅覚受容細胞でカルシウムイオン濃度が上昇すると蛍光を発するマウスをつくりだした。このマウスの鋤鼻器のスライス標本に薄めた尿をふりかける手法で、どの細胞がどの尿に反応するかを調べた。

 この結果、雄、雌どちらかにしか反応しない細胞があり、また去勢されたマウスの尿には雄にのみ反応した細胞も無反応であることなどが明らかになった。

 また同腹の兄弟姉妹とそれ以外のマウスでも明確な反応パターンの違いが見られ、さらに同腹の兄弟姉妹の尿に対しても反応パターンは全く同じではないことも確かめられた。

 これらの結果から、フェロモンに反応する嗅覚受容細胞のパターン認識により、雄、雌の違いだけでなく、個体の識別も行われている、と研究チームはみている。

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