ニュース

超新星は丸くなかった

2008.02.04

超新星はつぶれた形
超新星はつぶれた形 (提供:国立天文台)

 星が最後に爆発を起こす現象である超新星の形は、打ち上げ花火のように丸くないことが、東京大学数物連携宇宙研究機構などの研究者たちにより初めて確認された。

同機構の前田啓一・特任助教、野本憲一・主任研究員、川端弘治・広島大学宇宙科学センター助教、田中雅臣・日本学術振興会特別研究員らは、国立天文台ハワイ観測所の大型光学赤外線望遠鏡「すばる」で観測した15個を含む、18の超新星の観測データから、この事実を発見した。

 超新星は太陽の約10倍以上の質量を持つ天体が、最後に爆発する現象で、爆発によって飛び散った高温ガスの残骸が新しい星の誕生のように見える。爆発を起こすのは中心に向かって重力崩壊するためだが、重力崩壊した星がどのようにして爆発に至るかについてはよく分かっていない。

 研究チームは、すばる望遠鏡により、爆発から200日以上たった15個の超新星のスペクトル(光の波長の強度分布)を観測した。これにこれまで得られていた3個の超新星のデータを加えて調べた結果、5個ははっきりと「絞った形」をしており、残りのうち4個もその兆候を示すことが分かった。これは酸素輝線が、どの方向からも同じように検出されるか、方向によって異なって検出されるかで判定でき、観測結果は、爆発によって飛び散った高温ガスは全方向に万遍なく噴出しているわけではなく、つぶれたような形で特定方向により強く飛び散っていることを示していた。

 つぶれた形には見えなかった残りの超新星も、観測の方向のせいでたまたま丸く観測されたと考えられることから、これらの結果は、すべての超新星は打ち上げ花火のようではなく「つぶれた形の爆発をしている」ことを世界で初めて観測で確かめたことを意味する。

 超新星爆発の仕組みに迫る観測結果として、今後の超新星研究やガンマ線バーストの研究に大きな影響を与える、と研究チームは言っている。

ページトップへ