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ロシア極東の環境格付け合格林産企業1社だけ

2008.01.09

ロシア沿海地方の貴重樹種「チョウセンゴヨウ」(太く良質な木材のため違法伐採と輸出が後を絶たない) (撮影:V.Filonov)
ウラジオストク港から積み出される木材 (撮影:D.Kuchma)

 日本が大量の木材を輸入しているロシア極東地域で持続可能な森林経営をしている林産企業は1社だけであることが、自然保護団体WWF(世界自然保護基金)の環境格付けで明らかになった。

 WWFは、森林保護活動の一環として、日本だけでなく地球全体の環境に大きな影響を持つロシア・沿海地方とハバロフスク地方の林産企業が、どの程度、持続可能な森林経営をしているかを調べる環境格付けを昨年初めて実施した。今年は対象企業を43社に増やしたが、持続可能な森林経営に必要な基準を満たしている「高水準」の環境格付けを得た企業は、前回と同じ企業1社だけという結果になった。比較的持続可能な経営をしている「中程度」の環境格付けを得たのは、7社。残る21社が「低水準」で、環境責任が極めて低い「不十分」という格付け企業が14社もあった。このほか評価を受けることに同意しなかった企業が56社ある。

 WWFジャパンによると、ロシア極東地域で日本に最も近い沿海州(プリモルスキー州)は、北海道の倍近い面積で、その7割以上を森林が占めている。大量の木材が輸出されており、日本の丸太材消費量の44%が、この地域から輸入されている。ロシアが現在、森林保護に関する法整備の過渡期ということもあり、伐採の禁止されている樹種や、保護しなければならない森林を伐採して得られた木材も多い。日本に輸入されるロシア材は、最大で約40%が違法伐採によるものである可能性がある。

 標高の高い場所には、モミやトウヒなど針葉樹の森が広がっており、一方、低山帯から南部にかけての森は、針葉樹に加え、ナラ類などの温帯に多い落葉広葉樹が含まれた四季の変化が豊かな森で、シベリアトラやアムールヒョウのほかクマやシカなど、多くの野生生物が生息している。

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