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生きた生体分子の挙動観察

2008.01.08

生きた細胞中のタンパク分子
生きた細胞中のタンパク分子(点のように光っている部分が一個の分子)
(提供:国立遺伝学研究所)

 細胞内の生体分子を生きたままの状態で鮮明に観察できる手法を国立遺伝学研究所、理化学研究所の研究チームが開発した。

 徳永万喜洋・国立遺伝学研究所教授らが新エネルギー・産業技術総合開発機構の技術開発プロジェクトで開発したのは、蛍光顕微鏡を用いた手法。ただし、顕微鏡の視野に細胞の厚みよりも薄い光(厚み7〜10ミクロン程度)でスポット照明する薄層斜光照明法と呼ばれる手法だ。細胞の余分なところを照らさず、見たい場所だけを明るく照らすことができるため、これまでの蛍光顕微鏡より最高で8倍もの高画質を得ることができる。

 弱い光を当てるため、生きた細胞に損傷を与えず、長時間にわたって分子レベルでの連続観察が可能になった。

 バイオ分野の研究はゲノムの解明が進んだ結果、これらの遺伝子から作られたタンパク質をはじめとする多数の生体分子が、どのような役割を果たしているか、の解明に焦点が移りつつある。新しい観察手法は、生命機能を分子集団として解明するまったく新しい分子システム生物学の分野を切り拓くツールとなると期待されている。

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