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電圧変化で透明ガラスにも鏡にも変わる材料

2007.11.22

 わずかの電圧変化で透明なガラスにもなれば鏡にも変わる薄膜(調光ミラー)を、産業技術総合研究所・環境応答機能薄膜研究グループの田嶌一樹研究員らが開発した。

 ガラスにはり付けるだけで、光を完全に透過したり、逆に反射してしまうことが可能なことから、プライバシー保護や防犯効果のある窓ガラス材などの応用が期待されている。

 開発された薄膜は、ガラス板あるいはプラスチックなどの上に酸化インジウム・スズ、酸化タングステン、酸化タンタル、アルミニウム、パラジウムおよびマグネシウム・ニッケル系合金薄膜を重ね合わせた構造をしている。5ボルト程度の電圧をかけると酸化タングステン層に蓄えられている水素イオンが、金属状態のマグネシウム・ニッケル系合金層に移動する。すると、金属状態のマグネシウム・ニッケル系合金が非金属状態に変化し、鏡の状態が一転、透明になるという仕組みだ。この変化は約15秒程度で起こる。

 逆に透明状態の薄膜にマイナス5ボルト程度の電圧をかけると、逆の変化が起き、10秒程度で鏡の状態に戻る。

 研究者たちは、窓ガラスに用いることで太陽光を効率的にさえぎり、冷房効率を上げることもできると言っている。

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