ニュース

光化学オキシダント濃度の当日予報が可能に

2007.08.23

オゾン濃度予測と観測値の比較
(丸い点が環境省の観測点の実測値で、
予測と合っていることが分かる。7月28日14時)
(提供:海洋研究開発機構)

 光化学スモッグの原因物質である光化学オキシダント(主成分はオゾン)の濃度を、当日午前中の早い段階で予報できるシステムを海洋研究開発機構と東京大学の研究チームが開発した。

 光化学オキシダントについては、環境省が常時観測態勢(大気汚染物質広域監視システム)を敷いており、各観測点の実測値がウェブ上で公開されている。今回開発されたのは、実測値ではなく、予報値。首都圏各地の午後1時時点の光化学オキシダント濃度を当日の午前9時までに精度良く予測できることが確認された。

 海洋研究開発機構の滝川雅之研究員と秋元肇プログラムディレクター、東京大学気候システム研究センターの高橋正明教授らは、地球規模でのオゾン前駆物質の輸送や化学反応を計算することが可能なモデルに加え、アジア域や日本域など、特定の領域における汚染気体の輸送や化学反応をより細かく計算するためのモデルを使い、首都圏を対象としたオキシダント当日予報システムの開発に成功した。これまでの光化学オキシダント予報は、主に過去の統計や都市近傍のみの計算モデルを基にしており、周辺地域や越境大気汚染までを含めた予報計算はほとんど行われてなかった。

 光化学オキシダントは、目や呼吸器への影響のため学校の体育の授業が中止されるなど影響が大きいことから、より精度の高い当日予報が求められている。最近、光化学オキシダント注意報の発令回数が増加する傾向にあり、中国からの越境大気汚染の可能性が指摘されている。

ページトップへ