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セルロースから高純度の水素製造に成功

2007.07.24

 木材チップなどセルロースを加熱するだけで高純度の水素を効率よくつくりだすことに、東北大学の研究チームが成功した。

 この方法により、間伐材などこれまで利用価値が小さかった廃棄木材などから、燃料電池など将来利用範囲が拡大すると見込まれている水素を製造することが可能になると期待されている。

 東北大学多元物質科学研究所の張其武・助教、斎藤文良・教授らは、セルロースを金属水酸化物と混ぜ、メカノケミカル処理(乾式粉砕)という方法で細かくした後、アルゴンで満たされた電気炉の中で加熱した。この結果、水素の含有率が93.5%に達するガスが発生した。水素以外のガスはメタンが大半(6.4%)で、残りはきわめてわずかな一酸化炭素と二酸化炭素だった。

 リン酸塩型燃料電池の燃料として水素を使用する場合、一酸化炭素の濃度が1%以下でなければならないとされているが、この条件を満たす高純度の水素が発生したことになる。

 メカノケミカル処理は、粉砕することで物質の結晶構造が変化、物理化学的な性質も変わることが期待できる。今回の方法では、セルロース結合をゆるくした結果、加熱によってセルロース結合から水素だけを離脱させることが可能になった。

 現在は木材チップなどを用いた確認実験の段階だが、廃棄木材などから大量の水素を製造できる簡単な方法ととして、実用化の見込みは十分あると研究者たちは言っている。

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