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病害に強いイネの遺伝子発見 他の作物にも利用期待

2007.07.19

 いもち病を含む複数の病害に対して強い防御機能をもつイネの遺伝子を農業生物資源研究所の研究チームが発見した。この遺伝子の機能は、コムギなどイネ以外の植物にも利用できると見られており、さまざまな作物の農薬依存度を大幅に減らすことも可能と期待されている。

 高辻博志・農業生物資源研究所耐病性研究ユニット長らは、多くの作物のさまざまな病害に有効な防除薬剤として世界中で用いられているベンゾチアジアゾールに着目した。イネに対する効果を詳しく解析した結果、この薬剤がイネの遺伝子「WRKY45」(ワーキー45)に働きかけて、遺伝子が持つ病害に抵抗する機能を活性化することを突き止めた。実際にWRKY45遺伝子がよく発現するようにして遺伝子導入したイネ系統は、いもち病に対して非常に強い抵抗性を示すことが分かった。

 「WRKY45」遺伝子は、白葉枯病などいもち病以外の病気にも病害抵抗性を持ち、さらに病原菌の突然変異により抵抗性が失われる可能性は低いと考えられることから、病害に強い品種育成への利用が期待できる、と研究者たちは言っている。

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