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湖沼の水環境再生で国土交通省が新しい取り組み

2007.07.10

 河川や海域に比べて改善が進まない湖沼の水環境を再生する新しい取り組みを、国土交通省が始める。初年度のことしは霞ヶ浦と印旛沼で試行し、来年度から本格的な対策を実施する。

 霞ヶ浦では、湖に生息する外来魚や植物を堆肥に変え、流域内の農地で肥料として利用するための基礎調査を行う。元来、霞ヶ浦にかぎらず湖沼の周辺地域では、このような物質循環が行われており、それが湖沼の富栄養化を抑え、水質汚濁を防止する役割を果たしていた。同時に試験池を設け、魚類やプランクトンの生息数を変えることにより水質改善効果が得られるかを調べる。

 印旛沼でも、試験地による水質改善効果を調べる試験に加え、来年1月末から4月上旬まで、水位を低下させる試みを行う。水質改善に大きな役割を果たしている水生植物を増やすため、水生植物の発芽時期に太陽光を湖底の広い範囲に届かせ、生育を促すことを狙った試みだ。

 国土交通省の調査によると、湖沼の水質改善は全国的に遅れている。汚濁の指標である化学的酸素要求量(COD)の環境基準達成率は、2005年度で53.4%にしか達してない。河川(87.2%)、海域(76.0%)に比べて、だいぶ劣る。

 国土交通省、農水省、林野庁、環境省は昨年7月「湖沼の水質改善は、工場などの特定排出源だけの対策では不十分。汚濁物質の排出ポイントが特定しにくい地域全体から、汚染原因を減らす『面源負荷対策』が必要」という報告書をまとめている。

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