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単元素バルク金属ガラスのまぼろし

2006.08.02

 日本原子力研究開発機構は1日、大型放射光施設Spring-8を使ったエクス線回折と観察により、「高温高圧下でジルコニウムとチタンがバルク(塊状)の金属ガラスを形成する」という最近の報告を覆す新事実を発見したと発表した。

 金属ガラスは原子配列に周期性がないため強度、対腐食性など通常の金属にない特性がありすでにゴルフクラブなど実用化されている。作るには他種類の金属元素が入った合金とする必要があったが、加熱すると分解してしまう欠点があった。このため単元素からなるバルク金属ガラスの開発が世界中で進められていた。

 最近、高温高圧下で単元素バルク金属ガラスを作ったという海外の報告が「ネーチャー」紙などに掲載されたため、同機構で確認作業をおこなったところ、低い温度で急激な結晶粒が形成されるという珍しい現象が起きており、試料の一部だけを観察するとあたかも金属ガラスのように見えているだけで実際には形成されていないことが分かった。

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