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サイエンス・イン・ピクチャー - 年輪は語る

掲載日:2013年8月16日

サイエンス・イン・ピクチャー - 年輪は語る
  • 年輪は他の多くの生物体と同様、芸術家と科学者の想像力に語りかける。左の画像を撮影するため、コネティカット州在住の芸術家ギル(Bryan Nash Gill)はヤナギの倒木を輪切りにして磨いた後、断面を焦がして木目を際立たせた。次にローラーでインクをつけ、そこに紙を敷いてパターンを写し取った。こうして「木に歌わせる」のだとギルはいう。

    年輪年代学者が個々の木の歴史を組み合わせると、過去の気候に関する物語が浮かび上がる。このヤナギの年輪は様々な間隔を示しており、間隔が広いところは成長に適した年で、ほかはそうでもなかったことをうかがわせると、アリゾナ大学地理・開発学部の准教授ウッドハウス(Connie Woodhouse)はいう。この写真に見られる波打った年輪はこぶの一部で、おそらく何かの感染症によって生じた異常成長だ。また、2つの中心があり、双子として生まれた木が後に1本に融合したことを示している。

    季節的な成長パターンも読み取れる。断面を焦がす処理によって、春に成長した軽くて軟らかな早材が焼けてなくなり、夏場に成長した硬く緻密な晩材が残る。ウッドハウスはこの晩材を計測することで、アリゾナ州とニューメキシコ州における夏の季節性降雨の変化を追跡している。過去470年間の年輪データを解析した結果を、去る3月にGeophysical Research Letters誌電子版に発表した。過去100年に比べ、それ以前は大洪水がより激しく、期間も長かったことがわかった。もっとも、これは現在の米国西部の干ばつを耐え忍んでいる農家の慰めにはならない。

 

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