マガジン - 日経サイエンス誌ダイジェスト -

ヒッグスの先へ - クォークの中の素粒子

掲載日:2013年1月18日

ヒッグスの先へ - クォークの中の素粒子
  • 「7月革命」と呼ばれるようになったヒッグス粒子の発見。万物に質量を与えるとされるヒッグスは、素粒子論の枠組み「標準モデル」の中で、存在が予言されながら未発見だった唯一の素粒子だった。今回の発見で標準モデルが完全に検証され、盤石のものとなった。ただ標準モデルでも説明のつかない謎が数多く残されているため、研究者の関心は標準モデルを超えた新理論の探索に移ってきている。

    探索の手がかりは発見されたヒッグス粒子そのものにある。素粒子は一種の自転をしていて角運動量に似た物理量を持っている。スピンという。標準モデルに登場する素粒子は物質を構成する素粒子と力を媒介する素粒子に大別されるが、両者の違いはスピンの値が前者は1/2、後者が1であること(いずれも正負の符号をとれる)。例外はヒッグスでスピンの値はゼロだ。この例外の解消を狙って1つの仮説が提唱されている。ヒッグス粒子は、スピンがそれぞれ1/2と?1/2の粒子が組み合わさってできた複合粒子ではないかという仮説だ。実は標準モデルの他の素粒子についても、より少数種類の基本粒子、いわゆる「プレオン」と総称される粒子からなるとする理論モデルが提唱されている。

    標準モデルに登場する物質を構成する12種類は固有の繰り返しパターンを持つ。似たようなパターンは化学元素にも見られる。1869年、メンデレーエフは元素の性質がある周期で変化することに気づき、化学元素の周期表を作った。このパターンは後に物理学者によって原子の内部構造によるものと説明された。そのことから類推すると、もしかしたら素粒子も実は内部構造があるのかもしれない。素粒子にみられるパターンはプレオンが集まってできた複合粒子である可能性を示唆している。ただし、この可能性を支持する実験結果は現時点では得られていない。

 

ページトップへ