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特集:「限界」を科学する - 人生100年時代?

掲載日:2013年1月11日

「限界」を科学する - 人生100年時代
  • 1世紀前に生まれたアメリカ人は平均して54歳までしか生きられないとされていた。多くの子供が幼いうちに死に、出産は女性にとって最も危険なことの1つだった。しかし、予防接種、抗生物質、公衆衛生、そして産婦に対するケアが改善したおかげで、私たちは今では若死にせずに、はるかに高齢まで生きられるようになった。今日生まれる赤ん坊は、おおかた78歳の誕生日を迎えられると思われる。

    死神との闘いのうち容易に勝てる部分についてはすでに勝利し、人々はこれまでにないほど高齢まで生きるようになったが、私たちは現在、人間に究極の限界を課そうとする2つの大きな力に直面している。まず、私たちが1年長生きするごとに、身体の細胞や組織にダメージが蓄積していく。そうしたダメージは、加齢のせいで緩慢になっていく細胞修復システムでは、きちんと治すことができない。第二に加齢は、研究者が攻めあぐねているがんや心臓病、アルツハイマー病など、普遍的でかつ命にかかわる疾患の最大のリスクファクターだ。

    人間の寿命の限界を押し広げようとしている研究者たちは、次のように自問している。この2つの力のどちらに研究費をつぎ込むべきか? 老化の進行を遅らせるのと、個々の疾患と戦うのとでは、どちらがより効果的な戦略になるだろうか? 言い換えれば、大半の人は老化のせいで死ぬのか、それとも病気のせいで死ぬのだろうか?

 

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