マガジン - 日経サイエンス誌ダイジェスト -

特集:『限界』を科学する - 量子の限界を覆す

掲載日:2012年12月14日

『限界』を科学する - 量子の限界を覆す
  • 量子力学はかつて、限界を語る理論だと考えられていた。量子力学が支配する原子や電子などは、古典力学で慣れ親しんできたボールのようには扱えない。測定は不確定性原理によって制約を受け、起きる事象はランダムで制御できない。半導体の微細化が進んで量子力学の領域に至ると、情報技術は壁に突き当たると懸念されていた。

    だが実際には、そうした障壁は存在しない。それどころか、量子力学はこれまであると思われていた限界を解き放った。物体に備わった「重ね合わせ」や「不連続性」といった量子的な性質は、情報技術に限界を課すものではなく、むしろリソースになる。

    また量子力学は、数学や論理といった抽象的な分野にも新たな可能性を開く。数学的な真実は物理学とは独立に存在するが、我々がその知識を得るプロセスは物理過程だ。何を知ることができるかは、物理法則によって定まる。量子力学は基本の論理的操作を広げ、それによって数学もまた変わるだろう。

 

ページトップへ