マガジン - 日経サイエンス誌ダイジェスト -

パンと親しみ、パンを恐れる

掲載日:2009年10月14日

日経サイエンス11月号 曲がった時空の不思議な性質
  • パンなど小麦から作ったものを食べると激しい下痢を起こし、やせ細っていく──。「セリアック病」は子供がかかる奇妙な病気として古代ギリシャの文献にも登場する。本来、病原体から身を守ってくれるはずの免疫系が小腸の粘膜を攻撃し、食べものの消化・吸収がうまくいかなくなって起こる病気だ。

    免疫系の変調が原因で起こる病気は自己免疫疾患と総称され、関節リウマチや1型糖尿病などさまざまな種類が知られている。発症原因がわからない疾患も多いが、セリアック病は発病の引き金となる環境因子が小麦に含まれるタンパク質「グルテン」であることが解明されている。

    最近、血液検査で簡単にセリアック病を診断できるようになり、それまで知られていた数のほぼ10倍もの患者が存在していることがわかった。見過ごされていた人たちの中には、セリアック病とは無関係と思われていた症状を示している患者もいた。日本にはセリアック病患者はいないというのが定説だったが、現在では、それが疑問視されるような報告が出始めている。

    その一方で治療法の研究も進んでおり、さまざまなタイプの新薬が続々と臨床試験に入っている。

 

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