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片頭痛の特効薬開発に光

掲載日:2008年10月21日

日経サイエンス11月号 迫り来る水危機
  • 吐き気を伴って頭が激しく痛む片頭痛。世界で3億人を悩ませる慢性疾患だ。1997年に日本で行われた頭痛に関する大規模疫学調査(対象約4万人)では日本人の8.4%が片頭痛持ちと推定された。月に1~2回の頻度で激しい痛みに襲われる人が多いが、頭痛が4日間も続いたり1カ月の半分は痛みに苦しむ人もいる。

    片頭痛の原因については諸説あるが、最近の研究から2つの説が有力視されている。1つは大脳皮質の神経細胞の活動の異常に焦点を当てた「皮質犯人説」。神経細胞が過剰に興奮し、続いて今度は逆に活動が抑制される状態が起きる。そして、そうした神経細胞の変動が波のように大脳皮質を伝わると、神経細胞を制御するイオンや神経伝達物質に乱れが生じ、その変調を頭痛として感じるという。片頭痛の前兆である幻視は、その波が大脳皮質の視覚領域を通過する際に起こると考えられる。もう1つは脳幹の神経細胞の活性異常や不調を原因とみる「脳幹犯人説」で、これは患者の脳画像の分析から浮かび上がってきた。

    ただ、両説に共通する部分があるので、これらをターゲットにして治療薬や予防薬が開発されている。現在、片頭痛の薬として広く使われているのは高血圧やうつ病、てんかんの治療薬だが、片頭痛を引き起こす仕組みがわかってきたことで、より効果が高く、副作用の少ない薬が誕生するはずだ。

 

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