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マガジン - 日経サイエンス誌ダイジェスト -

ひとごとではない水問題

掲載日:2008年9月26日

日経サイエンス11月号 迫り来る水危機
  • この夏、東海地方などは激しい雷雨や豪雨にたびたび見舞われた。一方、四国では吉野川の早明浦ダムが8月末にほとんど貯水量ゼロになるなど渇水が深刻だった。関東地方も異常気象によって来夏以降、渇水に見舞われる恐れは十分ある。

    水不足というとアフリカやアジアの途上国や、もともと乾燥している大陸内陸部の話だと考えられがちだった。しかし、温暖化に伴う気候変動と中国やインドなどの経済発展に伴う水需要の急増などによって、水問題は今やグローバルな問題としてとらえなければならない時代となった。2025年までを見通すと、ほとんど世界全域で水不足になるとの予測もある。

    水危機が進めば食糧危機が起き、国際間の紛争に発展する恐れもある。ハーバード大学で環境工学の教鞭をとり、世界的な水管理の向上に取り組む「世界水パートナーシップ」の相談役でもある著者は「直ちに対策に着手する必要がある」と説く。

    水不足の原因はさまざまだ。供給システムの不備や政府の問題などから水が得られない経済的水不足や、都市や農業・工業での大量の水の使用による水不足、さらには排水汚染などによって清浄な水が得られないことによる水不足などがある。

    こうした状況認識を踏まえ、著者(P. ロジャーズ(ハーバード大学))は水問題の解決のため6つの対策を提案している。 例えば経済的水不足については国際支援が必要になる。乾燥地帯でも効率的に水を得る方法がある。「仮想水」の輸入だ。生産・製造するのに多量の水を必要とする食料や製品を輸入すれば、間接的に水を輸入するのと同じことになり、それだけ国内での水消費が少なくてすむ。灌漑用水の節約や、トイレの節水とリサイクルなども進めなければならないという。

 

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