サイエンスポータル SciencePortal

マガジン - 日経サイエンス誌ダイジェスト -

ダンスは言葉の始まり?

掲載日:2008年9月11日

日経サイエンス10月号 自己組織化する量子宇宙
  • お盆に、ふるさとに戻って夏祭りの踊りを楽しんだ人も多いだろう。音楽が聞こえると、足で拍子をとったり、身体を揺らしてリズムをとる人は多い。こうした動きは無意識に生じる本能的なものだが、これができるのは動物界広しといえども人間以外にはいない。リズムをとること、音に合わせて踊ることは、ヒトが進化の過程で獲得した希有な特徴なのだ。

    盆踊りはゆったりした動作のものが多いが、南米アルゼンチンが本場のタンゴは動きが複雑だ。そうした複雑なダンスをしているとき、脳はどんな指令を出しているのだろうか。神経科学者である著者らは、ダンサーの脳の活動を記録、音楽に合わせてタンゴの基本ステップを踏んでいる時に活性化されている脳の部位を調べた。その結果、頭頂葉の特定部分の活動が高まることがわかった。その部分には、身体がどのような姿勢をとっているのか示す「運動感覚地図」が収められていると考えられる。

    脳の左半球には言語をつかさどる領域(ブローカ野)があるが、ダンサーが脚を動かすと、そのブローカ野に対応する右半球の領域が活性化することも突き止めた。踊りは典型的なジェスチャー語であり、初期言語としての役割があったと推察される。言語と手、さらに脚の動きの関連はダンスがコミュニケーションとして始まったことを示す裏付けになるかもしれない。

 

ページトップへ