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マガジン - 日経サイエンス誌ダイジェスト -

社会を円滑に機能させる秘訣

掲載日:2008年9月8日

日経サイエンス10月号 自己組織化する量子宇宙
  • 見知らぬ人から「私が受けとめてあげるから、後ろ向きに倒れてください」と言われたら、その通りするだろうか。信頼している人からそう言われたらどうか。反応はまったく違うだろう。

    人間社会がうまく機能するには人と人の信頼が不可欠だが、新たに知り合った人を信頼すべきかどうか、私たちはどのようにして決めているのだろうか。神経経済学者の著者は、脳で作られるオキシトシンという小さなタンパク質分子が、信頼を築くうえで重要な働きをしていることを実験によって明らかにした。

    オキシトシンは神経伝達物質の一種で、血中に漏れ出て脳と離れた組織にも影響を及ぼすホルモンでもある。ホルモンとしての働きでは授乳期の女性に母乳の分泌を促すことと、陣痛の誘発がよく知られている。今回、オキシトシンが信頼を強めること、信頼に応える行為を強めることがわかったことから、著者らは、逆に脳でのオキシトシンの働きが損なわれることが社会的相互作用の不全を特徴とする疾患に関係しているかどうかを調べている。

 

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