マガジン - 日経サイエンス誌ダイジェスト -

行く末は、「大宇宙ひとりぼっち」

掲載日:2008年4月26日

日経サイエンス6月号 宇宙の歴史が消える日
  • きらめく星々、そして、けぶるような天の川──。海や山に出かけて素晴らしい星空を眺めたことがある人は多いだろう。だが、こうした星空が未来永劫続くわけではない。温暖化危機などで人類の未来は50年先すら予測するのは難しいが、最近の天文学の研究によれば1000億年以上先までの星空の変遷をかなりの確度で予言できる。

    50億年後、太陽が燃え尽き、地球は酷寒の世界となる。しかし、もし、そのころまで人類が生き延びたら、子孫たちは息をのむほどの星空を目にするだろう。アンドロメダ銀河が近づき、夜空いっぱいに広がっているからだ。

    1000億年も過ぎると、アンドロメダ銀河は天の川銀河などと合わさり超銀河が出現する。注意してほしいのは、超銀河のはるか外縁部を漂う地球から眺めた夜空には超銀河以外に銀河は見えないこと。暗いから見ないのではない。超大型望遠鏡ではるか遠くの宇宙をくまなく探っても、銀河は1つも存在しないのだ。

    広漠たる宇宙に存在するのは眼前の超銀河だけ。あとは虚無。私たちはビッグバンで宇宙が誕生したことを知っているが、それは、火の玉のようだった初期宇宙の“残光”(宇宙マイクロ波背景放射)を観測できたからだ。だが、1000億年後には銀河と同様、その残光も完全に消失する。宇宙誕生の証拠も、宇宙が進化してきた歴史も、すべて消え去ってしまうのだ。

    著者の2人(L.M.クラウス(ケース・ウェスタン・リザーブ大学)/R.J.シェラー(バンダービルト大学))は宇宙論研究者で一般向けの読みものにも定評がある。この記事の背景にあるのは「宇宙の加速膨張」という約10年前になされた天文学史上の大発見だ。2人は、人類の宇宙観をも揺るがせたこの発見をベースに、科学的な推理を積み重ね、1000億年後、さらには100兆年後の宇宙の姿をイメージ豊かに描き出した。

 

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