コラム - 科学のおすすめ本 -

パノラマえほん うちゅうといのち

推薦者:永山悦子 氏(科学ジャーナリスト)

掲載日:2013年4月5日

パノラマえほん うちゅうといのち
 ISBN: 9784845112975 C8740
 定 価: 2,300円+税
 著 者: 高田裕行 氏
 監 修: 縣秀彦 氏・真鍋真 氏
 頁: 35頁
 発行日: 2013年2月26日

「たかが絵本」とあなどるなかれ。「宇宙の果てってどこ?」「生命はどうやって進化したの?」という、大人も子どもも誰もが感じる素朴な疑問であり、多くの研究者が追い続けている奥深い科学の世界を、ユニークな形をした「本」が分かりやすく解いてくれる。

「本」と言いながら、本体はジャバラに折りたたまれ、広げると約2.8メートルもなる長い1枚紙だ。ここから「パノラマえほん」の名が付いている。

表側は「ずーっと、とおくへ」の言葉で始まる「うちゅう面」。表紙からジャバラをめくると、地球からどんどん遠ざかり、月、惑星、恒星、銀河系、137億光年先の宇宙の果てへと連れて行ってもらえる。使っている画像は、国立天文台のプロジェクトが開発した「4次元デジタル宇宙ビューアー Mitaka」のものだ。

裏側は「ずーっと、むかしへ」の「いのち面」だ。現在から時間を順にさかのぼり、哺乳類の誕生、恐竜、アンモナイト、生命の誕生、そして地球の誕生まで、地球上の動植物436種類にもなるカラフルなイラストを昔へたどっていくと137億年前に到達する。

ジャバラを広げ、美しい天体のイラストや、不思議な生き物の姿を眺めているだけでも、果てしない宇宙の広がり、生命の歩んできた時間の長さを感じられるが、「宇宙」と「生命」を表裏で紹介するという工夫されたまとめ方が、宇宙と生命の深いつながりを直感的にとらえられる効果を出している。

たとえば、10光年先の宇宙の裏側には10年前の生命の世界、10万光年先の宇宙の裏側は10万年前の生命、という配置になっている。10光年先、10万光年先の宇宙を見ることは、10年前、10万年前に生まれた光を見ていることになる。地球からの距離に応じて描かれた宇宙の眺めの背面に対応する過去の時間を示し、それぞれの時点の地球の生命の歩みを描くことによって、一目で対比できるようにしているのだ。

ジャバラごとの解説をまとめたガイドブックも付属している。ここでも、宇宙の距離と、対応する過去の時間に生きた生命を合わせて紹介する。大きな宇宙の中にある小さな地球。そこに暮らす数え切れない生き物たち。そんな「宇宙」と「生命」という、壮大なテーマを簡便に、それも一緒に伝える手法として、独創的な試みの1冊といえる。

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