コラム - 科学のおすすめ本 -

細胞が自分を食べる オートファジーの謎

推薦者:立田由里子(SciencePortal特派員)

掲載日:2012年4月24日

細胞が自分を食べる オートファジーの謎
 ISBN: 978-4-569-80071-4
 定 価: 本体800円+税
 著 者: 水島昇 氏
 発 行: 株式会社PHP研究所
(PHPサイエンス・ワールド新書)
 頁: 215頁
 発売日: 2011年12月2日

「オートファジー」とは何でしょう? オートファジーは「細胞の中で起こっている大規模な分解作用のこと」で、「細胞内の一部を少しずつ、しかし時に激しく、分解する行為」を指し、「細胞内のリサイクルの重要な担い手である」という。・・・そう説明されても、ちょっと難しいですね。

実は、オートファジーの研究自体が比較的新しい領域なので、一般にはあまり浸透していないのが現状です。オートファジーはかなり複雑なシステムですが、まだまだ未知な部分多く、それだけに、さまざまな生命現象や疾患(パーキンソン病や腫瘍発生、神経変性疾患など)を知る上で、最近とても注目されているのです。

本書の第1章では、オートファジーのあらましが書かれています。それを出発点に、読者は「オートファジー」というキーワードを携えながら、酵母からヒトへ、さらに卵子から神経細胞へと、いろいろな分野を旅することになります。読み進むうちに、自分の体を構成している小さな細胞のことに気付かされます。1つ1つの細胞内で、複雑なシステムが私たちの意志に関係なく、日々健気(けなげ)に働いているのですから、生命とは「何てすごい!」のか。

本書は「オートファジー」の全体像を知りたい方にはうってつけです。一般向けとは言っても、やはり多少の生物学的な知識は必要ですが、他分野の研究者たちの“オートファジー入門書”としても十分に参考になりそうです。高校などで学んだ生物学の、さらに最先端にある研究の一部を垣間(かいま)見ることができる一冊です。

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