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コラム - ハイライト -

にせ物と本物とを区別するのは

前総合科学技術会議 議員、元東北大学 総長 阿部博之 氏

掲載日:2007年7月5日

特別シンポジウム「学協会の改革と機能強化」(2007年7月4日、日本学術会議、日本学術振興会、科学技術振興機構 主催)」特別講演から

福沢諭吉は「文明論之概略」の中で「古来文明の進歩、其の初めは皆、いわゆる異端妄説に起らざるものなし」と書いている。異端妄説が独創的な新しい真理であっても、独創は学会から批判され、しかし、いつかは受け入れられる。にせ物と本物とを区別するレビュー機能は商業誌にもあるが、限られたものでしかなく、学会によるレビューがもっとも大きな役割を果たす。

第3期科学技術基本計画には、提言は豊富にあったとは言えないが、学協会にかかわることはほとんどすべて書いてある。政府は学協会の活動にどこまで関与すべきかが要点だ。

21世紀型の科学技術への転換を実現するには「後追い、改良型を基調とする産業・社会構造からの脱皮」、「環境(地球、資源、科学技術、文化)の変化への先導的、主体的対応」、「内向き志向からの脱却」が求められている。決して欧米人のやり方だけでは解決するとは思えない。このような転換に、学協会がどのようなリーダーシップを発揮できるかが問われている。政府、業界とは異なる立場からの提言が学協会の社会的な責任であり、そのためには科学者のコミュニティとして独立していることが大事だ。

阿部博之(あべ ひろゆき)氏のプロフィール
1936年生まれ、59年東北大学工学部卒業、日本電気株式会社入社(62年まで)、67年東北大学大学院工学研究科機械工学専攻博士課程修了、工学博士、77年東北大学工学部教授、93年東北大学工学部長・工学研究科長、96年東北大学総長、2002年東北大学名誉教授、03年1月~07年1月、総合科学技術会議議員。専門は機械工学、材料力学、固体力学。

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