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若い人に独立するチャンスを!

京都大学 ウイルス研究所 助教授 宮沢孝幸 氏

掲載日:2007年5月11日

宮沢孝幸 氏(京都大学 ウイルス研究所 助教授)

宮沢孝幸 氏(京都大学 ウイルス研究所 助教授)

 

人間は現在、エイズや白血病というレトロウイルスに悩まされているが、宮沢助教授は、動物にとってレトロウイルスは、本当にただの厄介者なのか、それとも必要な存在なのかを明らかにしようとしている。そして、後者の可能性もあると指摘している。

そんな宮沢助教授もさきがけOBの一人。さきがけ制度のおかげで、本格的にレトロウイルスの研究ができるようになったと語る。「さきがけがなかったら、死んでいた。なぜなら、さきがけがなかったら、独立することができず、レトロウイルスの研究から足を洗って、当時のボスのテーマの中で何か見つけるしかなかったから」

また、「もっとさきがけのような制度がサイエンスの発展のためには必要。若い人に独立するチャンスを、もっと、もっと、もっと、何倍も増やすべき。でないと、上の顔色をうかがいながらやる人ばかりになってしまう。教授の下働きばかりに終始し、若い人が夢を見られない。若い人で優秀な人はなんぼでもいる」とも。

宮沢助教授から若手研究者へのメッセージを聞いた。

どんな状況下においても「結局はうまくいく」ということを信じることが大切。研究活動においては、目標を追う過程で、横道にそれることが多々ある。ただ、その横道には、必ず面白いことがある。そして、また、目標を再設定し、また、横道にそれて、また面白いことがあって、の繰り返し。

研究仮説が100%うまくいくことなんて滅多にない。それでも、「結局はうまくいく」ということを信じることが大切。なにより、自分の能力は自分が思っている以上にあるものだから。そして、「『よい論文を書く』=それが正義だ!」だけでは通らない。「人としてどうあるべきか」という部分が研究者として生きていくうえでも、とても重要。決して、人をうらやんだり、恨んだり、憎んだりしてはいけない。

自分よりうまくいっている人を見て、そんなふうに思ったら「負け」ですよ。

(科学技術振興機構 渡辺信彦)
  • 「さきがけものがたり-未来を拓く研究者たちのドラマとその舞台」(アドスリー発行、丸善 販売)から要約転載)

 

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