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研究者・医者を目指す若者たちへ

国立成育医療センター研究所 移植・外科研究部 部長 浅原弘嗣氏

掲載日:2007年5月4日

浅原弘嗣氏(国立成育医療センター研究所 移植・外科研究部 部長)

浅原弘嗣氏(国立成育医療センター研究所 移植・外科研究部 部長)

 

私は幼少のころから生き物の観察が好きで、それが高じて研究成果の発表も大好きだったのですが、医学部を卒業して医師免許証を取得し、ひとたび整形外科医という道を歩むようになると、研究に携わる機会は限られたものとなってしまいます。

そんな中でも、「医学の道を歩みながら、メスをもっても治せない病気、怪我の治療の研究が出来たらいいなぁ」といつも心の中で思っていまして、既にしてきた「回り道」を武器にして、純粋なサイエンスに挑戦してみたいとも思いました。

私は整形外科医でしたので、意識を失って植物状態になってしまった患者さんを何人も見てきました。そういう時には、やはり医者としてそうした意識を取り戻してあげたいと思うのですが、いきなりそこに行く前に、まずは組織レベルの再生から取り組もう、という発想が浮かび上がりました。それが私の研究のルーツとなったのです。

これからお医者さんを目指す若い方たちにメッセージを送るとすれば、「専門職」としての研究をおこなっているPh.D.の博士研究者と、より深く共同研究を行ってほしいということです。医療分野で、プロがお互いを尊重してコラボレーションをすることで、医学、生物学研究がさらに発展できると思います。

また、理学などで博士号(Ph.D.)を持った方が、医学博士(M.D.)の感覚を持ちながら、たとえば、外来診療の手伝いをしたりとかしながら患者さんに積極的に接してもらい、ご自身が持っておられる研究で得られた経験・知識を臨床現場に照らし合わせてみてほしいと思います。

「臨床現場で働くことだけが患者さんを救うことではない」、「臨床で働くのも研究をするのも、患者さんを救うという点では一緒だ」と思う方も多いでしょう。そういう若い方と一緒に研究できたらいいな、といつも思っています。

いつか、患者さんの笑顔が覗けるような、そのためにまず真実をとことん追求する研究を今の楽しい仲間と一緒に展開していきたいですね。

(科学技術振興機構 加藤真一)
  • 「さきがけものがたり-未来を拓く研究者たちのドラマとその舞台」(アドスリー発行、丸善 販売)から要約転載)

 

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