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これが私の生きる道-感染防止デバイスの開発 病との闘い、研究、そして今

国立循環器病センター研究所 生体工学部室長 古薗勉 氏

掲載日:2007年4月6日

古薗勉 氏(国立循環器病センター研究所 生体工学部室長)

古薗勉 氏(国立循環器病センター研究所 生体工学部室長)

 

古薗は鹿児島大学農学部に在学している時、定期健康診断で要精密検査とされ、精密検査の結果、腎不全と診断が下された。その後、食事療法を続けることで、さしたる症状のないまま大学の4年生になり、就職活動を行ったが、最後の健康診断で全て不採用となった。

このような状況に悩んでいる時、新聞記事から知り手紙を出した川崎満治から、重要な手紙を受け取った。「人生いたるところに生きる道がある」という。この手紙がその後の古薗を決めたといっても過言ではない。その後、臨床工学技師の勉強を続け、同時に、鹿児島大学で講義を受け、そして、臨床工学技士の国家試験に合格し、1991年、鹿児島大学大学院工学研究科に入学する。

1996年臨床工学技士として働きながら博士課程を修了。このとき、学位取得に7年を要したと同時に、すでに12年の臨床実務経験を経ていた。その後、アメリカのワシントン大学に客員研究員として留学を果たした。

この時、人生において二人目の重要な人物と出会った。斉藤明(現、東海大学教授、日本透析医学会理事長)である。帰国後、蚕糸・昆虫農業技術研究所COE特別研究員、無機材料研究所NEDO研究員の非常勤(ポスドク)を経て、国立循環器病センター研究所に室長の職を得た。40歳を目前にした年であった。

2001年さきがけ研究のナノと物性研究領域に採択された。研究テーマは「人工物と生体との長期に渡る接着性の発現」。基材の機械的性質を損なうことなく、人工物と生体との接着性を長期に渡って発現するナノ無機、有機複合体を創出し、この材料から医療用デバイスを開発、臨床応用の早期実現を目指すものであった。

現在、カテーテル感染のレベルを判定できる国際規格を作り出そうとしている。日本発のISO規格である。これが出来れば日本の医療産業の活性化にも繋がると考えている。もちろん、優れた感染防止デバイスができ、感染に伴う医療費の削減、患者のQOL(生活の質)の向上も期待できるのである。

(科学技術振興機構 稲田栄顕)
  • 「さきがけものがたり-未来を拓く研究者たちのドラマとその舞台」(アドスリー発行、丸善 販売)から要約転載)

 

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