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バーチャルからリアルへ -古代生命体の再現に向けて

神奈川大学 工学部 助教授 宇佐見義之 氏

掲載日:2007年3月23日

宇佐見義之 氏(神奈川大学 工学部 助教授)

宇佐見義之 氏(神奈川大学 工学部 助教授)

 

宇佐見義之は、「子供のころには、とくに恐竜などの古代生物への興味はありませんでした」と語る。現在、神奈川大学で物理学を講義する一方で、物理学の手法により、絶滅した古代生物の生態の再現や生物の形の進化と運動の様子を研究している。大学には宇佐見の製作した、地球の生命進化をCGで体験する「バーチャル地球史博物館」がある。

宇佐見は物理学を突き詰める研究生活を送る中、グールドの著作に出会い、古代生物の生態に対する研究をはじめることになった。そのような折、さきがけに参加し、コンピュータの中で生物の進化の必然性(偶然性)を捉え、古代の世界をコンピュータで再現するというテーマにチャレンジした。

研究の発展は宇佐見にベンチャービジネスを興させることとなった。宇佐見は、さきがけでの異なる研究分野の研究者仲間との精神的な交流は大きな収穫で、その中でも故丸山工作研究総括から、「新しい分野を切り拓く先頭に立つ人になれ」と幾度となくいわれたと回想する。

このような体験から、宇佐見は後進の研究者にも、出身の研究テーマにこだわらずに、目先を変えて違った分野に取り組めば、きっと新しい展開が得られるのではないか、と異なる分野の勉強を薦めている。

アノマロカリス*の泳ぎを研究することからスタートして、さきがけの支援を受けることにより、水中に棲む生物の形の進化を映像化する作業を軌道に乗せた宇佐見の興味は現在、陸上を歩き回っていた恐竜へと広がっている。その一つがメカニカルなロボットではなくて、本物の生物のように見える恐竜ロボットである。

その実現のため、さまざまな問題を乗り越えて、古代に生きた生物達を現在に蘇らせたいという夢は広がる。

(科学技術振興機構 植地保文)
  • 「さきがけものがたり-未来を拓く研究者たちのドラマとその舞台」(アドスリー発行、丸善 販売)から要約転載)

 

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