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好奇心を大切に

慶応大学 医学部 教授 小安重夫 氏

小安重夫 氏(慶応大学 医学部 教授)

小安重夫 氏(慶応大学 医学部 教授)

 

いつごろから研究者になろうかと思っていたかというと、その兆しがあったのは幼稚園の頃でしょうか。

幼稚園の卒園文集で、「将来なりたいもの」について書かされましてね、まわりの子どもたちは「おまわりさん」とか「スチュワーデス」とかさもありなんという職業を書いていたのですが、私1人だけ「発明家」と書いて、とても笑われた覚えがあります(笑)。

どうして発明家になりたかったかというと、当時、伝記物語で読んだ「エジソン」に影響を受けたんでしょうね。その後、自分でいろいろな本を読んだり、近所の中学校に臨時で開設された「科学センター」へ行って、実験をやらせてもらったりしていました。

そして、具体的に「どうやったら発明家になれるだろう?」と考えた時に、小・中・高校を通して理科(理系の科目)が好きだったものですから「何はともあれサイエンスに関することをやれば、願いがかなえられるのではないか」と、思ったんですね。

語弊があるかもしれませんが、ふつうのサラリーマンになって会社の歯車として働くようなことは嫌だなと思い、サイエンスをやって自分の腕で勝負したいと強く考えていましたね。

若い人たちには、理系文系に関係なくつねに好奇心を持っていてほしいですね。たとえば、毘虫採集をしている時にも「これって、新種の虫じゃないかなっ」と、わくわくするような気持ちをつねに持っていてほしいと思います。

その発見自体は世の中にはなんの役にも立たないかもしれませんが、そういう気持ちを持てたこと、それを発見できたその行為自体をほめて、支えてあげることができる社会環境、何かおもしろいことをやろうとして、そのことにチャレンジする前に「そんなの役に立たないんじゃないか?」などと言われることのない社会環境をつくっていきたいですね。

それが、サイエンスの芽を育てることにつながると思いますから。

  • 「科学者になる方法-第一線の研究者が語る」(東京書籍)から転載
  • 小安重夫 氏の研究について:
    生物が自分の体を守るため、体に入ってきた異物を排除しようとする働きを、免疫という。病原微生物が、宿主の免疫反応に巧みに干渉し、感染を成立・持続させことで、人は病気にかかる。病原微生物と人間の共生関係を理解することで、共生を阻止する方法を解明し、病気の治療法や免疫システムの制御法を開発することを目指している。

 

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