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失敗を恐れない

奈良先端科学技術大学院大学 助手 冨田知志 氏

冨田知志 氏(奈良先端科学技術大学院大学 助手)

冨田知志 氏(奈良先端科学技術大学院大学 助手)

 

僕なんて、日本の学校教育の枠組みの中では多分「エリー卜ではない」部類に入るのでしょう。勉強は得意ではなく、実際あんまりしませんでした。

そういう人間でもいま研究者としてやっていけるのは、おもしろいと真剣に思える研究テーマに巡り合えたからです。好きな研究テーマのための勉強ならば、苦痛ではありません。

それからやはり大きいのは、テーマだけではなく、いろいろな人との出会いです。決して僕一人の力ではなく、共同研究者、大学時代の指導教宮や研究室の先輩・後輩、友人、家族などの支えがあったからこそ今の自分があるんだ、ということを最近つくづく思います。

僕のような凡人であっても、いろいろな人に助けられながら新しいことを目指してがんばっていくことは、今の時代の、この世界ではそれほど不可能なことではないと現時点では言えると思います。

自分でやっていて自分で言うのもなんですが(笑)、やはり研究者ってかっこいい職業なんですよ。おおっぴらに夢を語れる職業ですし、もちろん本人の才能と努力と運にもよるけれど、今まで誰もわからなかったことを解明したり見つけたりできるわけですから。僕もそういうこと、早く見つけたいですね。

今までの僕の経験からしか言えないのですが、失敗を恐れないということはとても大事だと思います。失敗しないよう準備を怠らないこと、同じ失敗を繰り返さないように反省することはもちろん大事ですが、いつまでもクヨクヨしてもしょうがない。失敗なんて誰でもすることですから。

とくに研究者を目指す若い人たちには、この点について強く言いたいですね。研究者というのはもともとリスクをともなう職業であり、バクチみたいなところがあると思います。だからこそ、人とは違うおもしろいことや今までできなかったことが、わかったりできたりするようになるわけですから。

そういうことにチャレンジする以上、失敗を恐れていてはたぶんダメなんです。

  • 「科学者になる方法-第一線の研究者が語る」(東京書籍)から転載
  • 冨田知志 氏の研究について:
    電磁波が伝わる物質は、電磁波の伝播方向と電磁波のエネルギーの進行方向の関係が決まっている。これに対して、これが逆になる「左利きの物質」(自然界には見つかっていない)を作り出し、従来の既成概念を破る新しい材料や基盤技術の創出を目指す研究を続けている。

 

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