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試行錯誤しながら突破口を

自治医科大学 医学部 教授 小澤敬也 氏

小澤敬也 氏(自治医科大学 医学部 教授)

小澤敬也 氏(自治医科大学 医学部 教授)

 

それほど明確な目的意識を持って医学部を選択したわけではありませんが、漠然とした勉強をするよりは専門職で自分の能力を発揮したかった、というのが大きな理由の一つです。

大学卒業を控えて、基礎と臨床の二者択一の選択にあたっては、中途半端になりがちであるものの、その両者を経験できそうな内科へ進むことにしました。学生時代に東大医科学研究所の研究室に出入りして、研究者の真似事を少ししていたことも、研究志向の臨床医学者というスタンスにつながったと思います。

研究というのは、単に指導者の言うとおりに実験をこなしているだけでは、決してうまくいきません。計画通りに進むことはまずなく、また予定通り出るようなデータは一般にたいしたことはありません。

自分でよく考え、試行錯誤しながら突破口を見出すしかありません。受け身であってはまずダメです。

日々の実験はかなり地味な作業ですから、それが苦にならず、粘り強く簡単にはあきらめないタイプの人が適しています。泥臭い人間のほうが、適性があるかもしれません。

また、現状に満足していても大きな発展は望めません。新しいものを積極的に採り入れていく姿勢が大事です。一人でできることには限りがありますから、仲間を増やしていくことも大切です。

もちろん、いくら優れた資質があっても、よい環境の研究室を選ぶことが、研究をスムーズに進めるうえで重要なことは、言うまでもありません。

  • 「科学者になる方法-第一線の研究者が語る」(東京書籍)から転載
  • 小澤敬也 氏の研究について:
    特定の遺伝子が機能しない患者に対する治療法として、遺伝子治療に大きな期待が寄せられている。治療用遺伝子は、ふつうは細胞の核内に入って初めて機能する。この治療用遺伝子の運び屋として必要な「ベクター」として、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの開発とその応用研究に取り組んでいる。新規ベクター作製システムの開発など基礎研究に加え、遺伝子治療の臨床応用をめざし、神経系、心血管系、がん、血友病など幅広い領域の研究者と共同研究を進めている。

 

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