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2010年10月24日編集だより

小岩井忠道

東京・広尾のJICA地球ひろばで開かれたカンボジア教育支援基金の総会に出席した。年に一度の総会に出席する以外、何の貢献もしていない頼りない会員だ。

この基金は政変で故国を追われたカンボジア人、コーン・ボーン氏と同氏を支援する元共同通信プノンペン支局長、村井孝至氏(故人)によって1993年に創設された。以来、現地に小中学校を建設したり、生徒や先生への金銭的支援を続けるという立派な国際貢献活動を続けている。

帰国したボーン氏との関係がこじれ、2007年からそれまでとは別の高校への支援(生徒への奨学金支給)に切り替えるという変化があったものの、総会の報告を聞くと驚くような支援効果が上がっている。

主な支援の内容は、主たる支援先となったプロモルプロム高校の経済的に困っている生徒に奨学金を支給しているほか、付近の4つの小学校への教科書配布などだ。教科書は国が全生徒に無償配布していることになっているが、実際には一部の生徒にしか教科書は配られない。面接で選んだ82人の奨学生には1人年40ドルの奨学金を与えている。

カンボジアはフランスの植民地時代からの制度として、バカロレアに相当する全国統一高卒資格試験がある。合格者には大学進学の資格が与えられるが、プロモルプロム高校では2007年の支援開始以来、今年初めてBランクの生徒が1人出た。Bランクに入ると学費免除で大学に進学ができる。2008年に1人しかいなかったCランクにも9人が入り、このうち4人が基金の奨学生だった。Cランクの生徒には大学の年間学費が80ドルで済む特典が与えられる。プロモルプロム高校の副校長から、基金の支援が大きかったと感謝されたという。

カンボジアは1970年にシハヌーク国王がクーデターで国外追放になって以来、内戦やポル・ポト政権による虐殺で多くの国民の命が奪われ、国土も荒廃した。1993年に新政権が発足、2000年からの経済発展で国民所得が年間300ドルから2008年には700ドルに上がっている。とはいえ教育環境がすぐによくなるわけはない。プノンペンの一部を除くと午前と午後に分かれた二部授業が普通で、前述のように教科書も行き渡っていない状態が依然として続いている、という。

総会では、今年度からプロモルプロム高校からプノンペン大学に進んだ大学生1人に年間300ドルの奨学金支給を始めたという報告があった。来年度からはさらに1人を増やし2人の大学生にそれぞれ年間500ドルの奨学金を支給することが決まった。さらに高校生の奨学金も長い間年40ドルだったのを50ドルに増額する活動方針も示され、これも承認された。日本全体では大きな負担になっている円高も、こうした国際支援を進める組織にとっては有利に働くということだ。

総会に出るたびに、国内での諸々の活動に加え、現地での支援活動などに力を注ぐ会員の姿に打たれる。しかし、英語がまるで駄目な編集者の場合、特に現地での支援活動などできそうもないから、何とも肩身が狭い。

総会会場で、役員の方から現地で配布した教科書を何冊か見せてもらった。クメール語の字というのは、象形文字なのだろうか、相当複雑に見える。数学の教科書のページを繰っていたら、見覚えのある数字の列が出てきた。等差数列や等比数列と並んで、前の二つの数字の和が次に来る数列があった。

数列といえば、n番目の数をnと数字だけ使って表す問題があったな。等差数列や等比数列は比較的簡単にできるはずだが、前の二つの数字の和が次の数字となる数列はどうだったろうか。2次会後、帰りの電車の中でも考えたがついに分からずじまいだった。

これじゃあ、英語以前に算数のボランティア教師役も務まらないなあ、とさらに反省した。

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