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2010年10月2日編集だより

小岩井忠道

週末、妙高高原に出かけてきた。赤坂のライブハウス「STAGE-1」が毎年、妙高市池ノ平の「ホテルアルペンブリック」と隣接する妙高高原ビール工場レストランで開くライブショーを楽しむためだ。

飲むだけなら多少の出費もいとわず付き合ってくれる。そんな先輩や友人は、ありがたいことにたくさんいる。しかし「音楽も楽しんで、かつ一泊の遠出はどう?」となると、そうはいかない。昨年は何とか高校の同級生夫妻を引き込んだのだが、奥方に最後に振られ、2人だけの参加となった。これでは意気が上がらない。

さらに今年は「妙高高原ライブは今回で最後にしようと思う」などと「STAGE-1」のオーナー、高柳夫妻に言われている。30年来の客としては2、3人の参加では相済まない。しばし考えるうち、新潟県新発田市に住む通信社時代の先輩夫妻がいることを思い出した。よく考えると新発田から妙高高原というのは、東京から行くよりよほど近いのである。期待通り、この先輩、深野久夫妻から二つ返事で参加の返事。ついでに高校の同級生1人も誘ってくれた。昨年ドタキャンの同級生夫人も、3月に都内の小学校か中学校の校長を退職したとかで今度は参加するとのこと。6人ならライブショーを見ながらの飲食も昨年とは打って変わったものになるに違いない。

それぞれ車で行くという5人とは別行動をとり、信越本線の妙高高原駅の一つ手前「黒姫」駅で降りることにした。黒姫山、妙高山を眺めながら目的地まで歩けば、ホテルでつかる温泉も一際気持ちいいだろうし、その後のビールやウイスキー、料理もさらにうまいだろうという魂胆である。

正午前に黒姫駅で降りると、黒姫、妙高が青空をバックに見事な姿を見せていた。日差しは少々きついものの気温も湿度も実に快適だ。ぶらぶらと歩いて信濃町と妙高市の境界まで着くと1時間半ほどしかたっていない。このまままっすぐ行ったら3時ごろにホテルに着いてしまいそうだ。

長野と新潟の県境でもある信濃町と妙高市の間を流れる関川に沿って山に入り、苗名滝まで行ってみることを思いついた。黒姫駅で手に入れた案内図によると、信濃町側、妙高市側のどちらからも道があるように書いてある。手前の信濃町側から山道に入り、帰りは妙高市側の道を下るルートを選ぶ。

早々と道を間違え遠回りをしたが、関川沿いの道に戻ると高沢発電所の脇に出る。長野県に東北電力の水力発電所があるのに少々驚いたが、しばらく歩き続けていて出合った表示に笑った。「ここから苗名滝までの道は幼児連れや軽装では無理。滝まで片道だけで40分かかる」と書いてある。まあ、この愛想のなさは我慢するとして、その後が「熊が出ることもある」だ。これじゃあ、引き返せと言わんばかりではないか。既に山道を1時間ほど歩いてしまっているのに…。

30分ほどで滝の真横に着く。そこから滝つぼのそばまで下りるがけ道は急で、確かに幼児にはきつい。一度滑って尻もちをつきながらようやく到着した滝つぼからの眺めはなかなかのものだった。玄武岩でできたというがけの上部に天井が空いた洞窟(どうくつ)のように大きな穴が口を開けており、そこから大量の水が豪快に流れ落ちている。

見渡すと滝つぼの周辺には大勢の人たちがいるではないか。一休みして妙高側の道を帰り始めると、ほとんど目と鼻の先のところに大きなレストランが建っていた。妙高側からだと、車で滝のすぐそばまで来られるのである。途中の山道で一人の人間にも合わなかった理由が分かった。熊にも出会わなかったが…。

黒姫駅からホテルまで4時間半。温泉でしばし手足を伸ばしてから、先着の5人と豪勢なバイキング料理とカントリー・ウエスタンの生演奏を堪能した。

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