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2007年11月30日編集だより

小岩井忠道

日本記者クラブで行われた国際基督教大学の学長記者会見と、引き続いて行われた懇親会に出席した。午後6時半という妙な時間に記者会見を設定したものだと不思議だったが、懇親の場も用意していたということで納得する。

来年度から学科をなくし、専攻は3年に進む時点で決めさせる。入学者も理系、文系に分けず選考する、という同大学の教学改革は当サイトでもニュースその他で紹介済みだ(11月14日オピニオン・日比谷潤子氏「国際基督教大学(ICU)の教学改革」、10月24日ニュース「専門分野の選択は入学後に 国際基督教大学が新制度」参照)。

さて、教学改革について学長自らアピールしたいという意欲的な記者会見が、どの程度メディアの関心を集めるだろうか。ひとごとながら心配してしまった。つい最近まで伝統的なメディア組織に身を置いていた経験からすると、記者というのはおおむね理念的な話は好まない。すぐにニュースの見出しが思い浮かぶような具体的内容が期待できない記者会見だと、腰を上げない傾向がある。

とまあ、考えて質問まで用意して出かけた。記者の側から手を挙げる人間がいなかったら、と思ったわけだ。これが、とんだ取り越し苦労だった。大学関係者も相当いたとはいえ、記者の数も多く、まっとうと思われる質問が相次いだ。当然、わが出番などない。教育の話ともなれば、やはり社会の関心もメディアの関心も違う、ということだろう。例えば科学技術関係だと、内容がいまひとつの記者会見に大勢の記者を集めるのは、恐らく相当むずかしい。広報担当者があらかじめ、あるいは日ごろから相当な根回しをしない限り…。

鈴木典比古学長の話の中で、これまで深く考えたこともなかったことは、世界を見渡すと大学のありように2つの大きな流れ(カテゴリー)があるということだった。大規模な大学とリベラルカレッジである。米国を例に取ると、約3,000ある大学のうち、約500が、リベラルカレッジに相当するという。17世紀の欧米で社会のリーダー育成を目的に設立された典型的な大学がリベラルカレッジということだから、むしろこちらが「本家」ということになるのだろうか。文系、理系の垣根を越えて教養教育を重視するのがリベラルカレッジの基本理念だから、日本の総合大学にも単科大学にもない考え方ということだろう。

鈴木学長によると、日本で唯一のリベラルカレッジといえるのが国際基督教大学という。今回の教学改革の狙いは、これまでの基本理念を徹底させることにあり、入学時に専攻どころか理系、文系に分けてしまうのもやめてしまう、ということである。

あらためて、第3期科学技術基本計画の「大学における人材育成」の項をみてみたら、以下のようなことが書いてあった。

「創造性豊かで国際的にリーダーシップを発揮できる広い視野と柔軟な発想を持つ人材を育成するため…、各大学の学部段階では、それぞれの個性・特色を明確化し、教養教育の充実とともに教養教育と専門教育の有機的連携を確保した多様で質の高い教育の展開が期待される」

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