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2007年8月29日編集だより

小岩井忠道

当サイトが実施中のアンケートに対し寄せられた要望に、次のようなものがあった。

「新聞社からの引用に意味を感じません。このサイトでしか知りえない情報を発信してください」

匿名なので直接、尋ねることはできないが、「レビュー」欄に、新聞の引用でつくっている記事が多すぎるという批判だろう。確かに新聞記事を基に記事を書くということは、新聞社や通信社の記者は普通はやらない。盗用ということで首が飛ぶことすらある。海外特派員だけは、現地の高級紙の記事を要約して報じることが慣行として許されているが。

さて、当サイトはスタート以来、ニュース、レビューという欄を設けている。スタート間もなく、自社のウェブサイトに「科学ニュース」のページを設けている全国紙3紙の協力が得られたことから、3紙の科学ニュースもトップページに載せているのはご覧の通りである。

3紙のニュースが簡単に見ることができるのだから、同じものを当サイト独自のニュースとして載せる意味はない、という考え方はあり得る。実際、当初はそのような考え方でニュースを選んでいた。この場合も、いまと同様、ネタ元はウェブ上でアクセスできる官庁、研究機関、大学などのプレスリリースがほとんどだ。

ところが、これには問題がある。ニュースになりそうなプレスリリースが何も見つからない日があるということだけでなく、全国紙3紙の記事が短期間で当サイトから消えてしまうということだ。3紙に載っていな記事ばかりをニュースにしていると、新しいニュースを伝えるとき、これは○○前に起きた事故、災害に関係した話です、などと過去のニュースを参考記事として見せることができない。全国紙に載っている話でも大事なニュースは載せるという方針変更をせざるを得なくなった理由である。

レビューはどうか。この欄は読んでくれる方に関心を持ってもらえそうな解説風の記事という大まかな性格さえ決めておけばよいだろう、という考えでやっている。新聞を引用することが多いのは、新しい情報を分かりやすく提示し、かつ信頼性が高い身近な情報源としては最適と考えるからだ。もう一つの理由として、新聞を丁寧に読む人が年々少なくなっていると推察されることもある。一般紙を2紙以上、購読している人はごく少数だろうし、いまや1紙も購読していない人も珍しくない。新聞の引用という形で紹介することの意味も、そこそこあるだろうということだ。複数の新聞に目を通す余裕がない人、全く新聞を読まない人のどちらに対しても。

「新聞社からの引用に意味を感じない」と言われる方の立場を想定してみた。自分はすべての新聞に目を通しているのだから余計なことをしなくて結構、というわけでは多分ないだろう。「1、2紙新聞は読んでいるから必要ない」か、最初から新聞記事に全く興味がない、あるいは限られた労力、費用を「このサイトでしか知りえない情報の発信」に注いでほしいと考えるから、といった理由が思い当たる。それとも、このサイトに目を通すこと自体、忙しい時間の合間を縫ってしているのだから、ここだけの情報しか載せるな、ということかもしれない。

しかし、待てよ。レビュー記事に新聞の引用が多いことの批判だとばかり考えていたが、あるいは、全国紙3紙のニュースを載せていることに対する批判でもあるのだろうか。そうだとすると、より根本的な疑問を提示されたことになる。サイエンスポータルにニュースなど必要ない、という。

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