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2006年10月28日編集だより

小泉成史

地元・横浜の博物館を3館、ハシゴした。

最初は日本新聞博物館の「新聞の魅力 アナログとデジタル」展。日本経済新聞創刊130周年を記念したもの。テクノロジーばかり強調した印象薄い展示で「新聞の魅力」がちっとも伝わってこない。毎日でている日経の紙面そのもの方がよっぽど魅力的。

次いで日本郵船歴史博物館の「航跡 - 船が紡いだエピソード」を覗く。いつ来ても建築と中の展示の一体感がすばらしい。今回の展示は郵船120年の歴史の中でのさまざまな話を並べたもの。長旅に飽きた船客を楽しませるために乗員が、毛布を「富士山」などさまざまなものに見立てて折りたたみ、ベッドの上に飾った「花毛布」など当時の乗員の工夫が偲ばれて面白い。

最後の神奈川県立歴史博物館の「富士山大噴火 -- 宝永の『砂降り』と神奈川」を観た。富士山は1707年(宝永4年)に噴火し、神奈川県にも膨大な火山灰が降り注ぎ多大な被害を与えた。その状況を貴重な資料で今に伝える展示。
柳沢藩の江戸藩邸で採取、和紙で丁寧に包み保存されていた火山灰や新井白石が噴火を記述している日記「折りたく柴の記」の実物など、小さくても本物だけが持つ圧倒的な訴求力で、話にだけは聞いていた富士山宝永噴火のイメージが鮮やかに浮かび上がる。
歴史を学ぶ意味と博物館の存在価値を痛感する好企画だ。

「われわれは何のために歴史を学ぶのか?」全国の公立高校での歴史履修偽装事件が騒がれているけど、本質的な問いかけを忘れた騒ぎはただ空しいだけ。

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