サイエンスポータル SciencePortal

アーカイブ - 編集だより -

2006年10月27日編集だより

小岩井忠道

これが初来日というジェーン・イーグレンを主役に据えたハンガリー国立歌劇場の「トスカ」を、東京文化会館で聴いた。

イーグレンは「ビルギット・ニルソン以来のドラマティック・ソプラノの巨星」、とパンフレットには紹介されている。相当な歌手らしい。

クラシック音楽を生で聴くようになって、年月だけは長い。学生時代は、寮の先輩が文化放送のクラシック番組公開演奏会のチケットを毎月くれたし、通信社の地方支局勤務時代は、市交響楽団の定期演奏会招待券が、いつでも手に入った。

しかし、今もって、ある水準以上の演奏を聴いて、とてつもないすばらしい演奏だったのか、あるいは並の出来だったのか、聴き分けることができない。幼少時、身の周りにハーモニカくらいしかなかった育ちの悲しさということだろう。

というわけで、今宵の「トスカ」にもいつもの音楽会同様、十分に満足した。帰り際、ホールで、この日だけでなく音楽会の招待券をいつも送ってくれる友人にあいさつしたところ、なんと「最低だ!」と吐き捨てるように言って、帰った客がいた、というのである。

そういえば、終了後も万雷の拍手、という感じではなかったかなあ。「ブラボー」という声もあるにはあったが、大勢ではなかったか、と後で考えた。

高名な外国人演奏家、というだけで大感激する。そんな時代もあったように思うが、日本人の耳もだいぶよくなってきたということだろうか。新聞に音楽評が載らないか、注意していよう。

ページトップへ