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2006年10月21日編集だより

小岩井忠道

周防正行監督の傑作映画「シコふんじゃった」(1991年)の初めの方に、一言も二言もありそうな中高年のおじさんたちが、大いに嘆きあう場面があった。

「最近のわが相撲部の体たらくは、なんたることか」などなど…。

日帰りで郷里に行ってきた。予定より少々早めに着き、商店街にある老舗菓子店に行く。高校の同級生の実家だが、長男なのにゼネコンに入ってしまい、弟が跡を継いでいる。「あんこも、土やセメントも、こねるのは同じだしなあ」。父親はそういって長男の希望をのんだということだ。就職先としては、公務員、銀行・証券会社さらには医者などより、メーカーやゼネコンの人気が高い時代だった。

さて、本来の目的は、母校である高校の運動部の創部80年記念誌をつくる作業が進んでおり、編集委員会の末端の方に名を連ねているからだ。最長老は、81歳、さんざんお世話になった顧問やコーチ、先輩たちも編集委員に名を連ねているので、東京からでも欠かさず出席しないわけにはいかない。

2時間まじめに議論をし、そのあとは、そば屋で当然、放談会、となる。編集作業の大半を実質的に担っているのは、母校の教師として、現役部員たちの練習も見ている一番若い後輩だが、放談会の席では、もっぱら聞き役に徹せざるを得ない。県大会で優勝、準優勝悪くてもベスト4というのが、かつては当たり前だったのが、だいぶ前からベスト8に残るのも大変という時代になってしまっている。

わが郷里は、学校群といった制度は取り入れなかったが、県立高校が、学業、体育特に体育面で新興私立高校にまるで歯が立たなくなってしまった、という状況がだいぶ前から常態化している。気分よく飲んだ帰りの特急の中で、急に「シコふんじゃった」の、かの場面を思い出したというわけだ。

それもこれもさかのぼれば、私のすぐ下の「団塊の世代」がもたらした“産物”の一つなのだろうなあ、などとも思いながら。

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