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2006年10月15日編集だより

小泉成史

庭の柿の木が今年も不作だ。赤くなる前に実がほとんど落ちてしまった。
昨年も不作だった。俗説によると、柿の収穫は「表と裏」があり、一年ごとに豊作と不作を繰り返すという。昨年は不作だったので今年は期待していたのだが、見事に裏切られた。一作年は家族で食べきれないほど豊作だったのに。
ろくに手入れもせず、肥料もやったことがないのでとうとう力尽きたのかもしれない。来年はきちんと肥料をあげようと反省。

枝に残った数少ない柿の実を見ているうちに、阿倍宵人著
「俳句 四号目からの出発」を思い出した。阿倍氏は初心者俳句約15万句を点検し、そこに共通する紋切り型表現をあぶり出し、これから抜け出さないと真の句作への道は遠いと指摘した。
その紋切り型俳句の典型――。
夕暮れに 烏残せし 柿一つ

初心者が作ると、どういうわけか柿はいつも「一つ」だけ枝に残り、決まって「夕陽」に照らされるのだという。
阿倍氏は紋切り型表現には日本人共通の物の見方、美意識の最大公約数が凝縮されていると指摘した。
俳句のような芸術表現とは違うが、わがマスコミも紋切り型表現の宝庫だ。
「今後、国民的な議論が期待される」、「成り行きが注目される」などなど。
自分のようなボキャブラリーの少ない書き手には紋切り型は便利この上ない。
だらだらした文章でもなんとなく収まりがつくからだ。
とはいえ、避けることにこしたことはない。
できるだけ使わないようにしようと柿を見て反省。

いつものように反省ばかりの休日。

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